部品搬送および材料インフィードにおけるサーボドライブの効果的な導入後、ダイレクトドライブの投入により、CM 625/CM 725 の徹底したさらなる開発が続けられています。
板金プレスにおいて、ダイレクトドライブはすでに長年にわたって使用されているとともに、幅広く普及しています。横型プログレッシブヘッダーの場合、厳しい要件とそれに伴うコストのために、その利用はそれほど頻繁ではありません。CM 625/CM 725 用に開発されたソリューションは、非常に優れたコストパフォーマンスで、この技術の多大なメリット
を提供します。
サーボダイレクトドライブを使用することにより、まず駆動ベルト、フライホイール、ブレーキ/クラッチコンビネーションが不要になります。ダイレクトドライブ用に追加で必要となるコンポーネントは、実質的にメンテナンスフリーです。
使用される駆動モーター(いわゆるトルクモーター)は、永久磁石で作動する水冷式多極シンクロナスモーターです。あらゆるサーボモーターの場合と同様に、モーター内に回転数制御および位置
制御用センサーシステムが内蔵されています。
前述のように、ダイレクトドライブにはフライホイールがありません。すなわち、運動エネルギーの蓄えがありません。成形に必要なエネルギーを供給するために、制御盤内にコンデンサーバンクが取り付けられます。このコンデンサーは成形中に大量のエネルギーを発することができ、マシンが無負荷状態にあるときに、再び充電されます。これにより、ダイレクトドライブによるマシンへのエネルギー供給を標準マシンと同等の水準にすることが可能となっています。
CM 625/CM 725 は、材料インフィードおよび部品搬送の点で、メインドライブとは別の駆動システムを標準装備しており、これまでになかったレベルのキネマティックの柔軟性をすでにもたらしています。たとえば、グリッパーの動きやトランスファーシステムの速度を、マシンの回転数に関係なく変えることができます。
これによりたとえば、金型を最適化したり、部品の搬送を高速生産時にもより確実に行ったりすることが可能となります。これらの可能性をダイレクトドライブと組み合わせることにより、プレスラムの動きにも影響を及ぼすことができます。典型的な例として、生産能力を低下させることなく、マシンの前死点付近(すなわち、本来の成型プロセス時)において速度を変更することができます。
前死点でのプレスラム速度の低減により、たとえばトグルプレスに似た動きを生み出すことができます。そのような機能は、成形金型の寿命を著しく向上させることが可能です。それにより、一般的な金型はもちろん、特に閉塞用の金型の場合に製造コストを節減することができます。様々なアルミニウム合金も、低速でより良く成形可能です。
同時に、新しい駆動システムは、長尺部品や難しい部品の場合にもメリットがあります。後死点側でのプレスラムの動きを、標準ドライブよりもゆっくりと動くように、変更することができます。これにより、より長尺な部品やより難しい部品において安定した搬送を実現するための、より大きな時間枠を使用することが可能になります。同時に、逆の使用も考えられます:長尺部品の搬送を、標準ドライブよりも速く行うことも可能です。それにより、次の工程ですでに前進を始めている金型との衝突を回避します。このことは、同じタイプのフォーミングマシンで、より長尺な部品を製造できる可能性をオペレーターにもたらします。
切断工程中の部分的な速度の上昇や、非対称なモーションも考えられます。そのような場合、マシンの前死点がプレスサイクルの中央から外れること
になります。
ドライブが全回転域でもたらす非常に大きなトルクにより、セッティングモード(低速運転)で問題なく部品を成形することも可能です。そのセッティングモード(低速運転)では、フライホイールの回転が必要ないので、マシンをより早く調整することができます。